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世界で進む医療の国際化|医療ツーリズム

医療ツーリズム(メディカル・ツーリズム)とは、「医療を受ける目的で他の国へ渡航すること」を言います。
インターネットの普及や国際交通網の発達によって、現在では世界約50ヵ国で医療 ツーリズムが実施されています。
2008年の医療ツーリスト数は年間600万人程度と推計されており、市場規模は2012年に1000億ドルまで拡大することが見込まれているのです。

医療ツーリストの渡航目的を見ると、「最先端の医療技術」や「より良い品質の医療」を求めて渡航するツーリストが全体の約7割を占めておりますが、各国の医療事情に起因する側面もあるようです。

例えば、イギリスやカナダでは治療を受けるまでに時間がかかるため「待機時間の解消」を目的に渡航するケースが多く。
また、米国では多数の無保険者がいることに加え、雇用者側が医療保険の負担軽減のため、従業員に医療費の低い海外での治療を推奨しており、「低コストの医療」を求める場合が多くみられます。
その他、自国では受けられない治療を求めて渡航する場合もあります。
医療ツーリストの渡航先としては、渡航理由に関わらずアジアが目的地となっている割合が高く、以前の医療 ツーリズムは新興国から先進国への渡航が主流であったが、現在は先進国から新興国へ向かう新たな流れが加わっているようです。

増える医療ツーリストの流入 アジアの動向 ~医療ツーリズムの一大拠点に~

アジア地域の主要国における医療ツーリストの受け入れ数は、概ね年間300万人(2007年時点)となっ ており、医療ツーリストを受け入れる一大拠点となりつつあります。

なかでもタイは、観光資源が豊富で、滞在費も安く、語学対応も十分でアメニティの高い病院が多いことなどから、 受け入れ数が他の国を大きく上回っている。

アジアに渡航する医療ツーリストの居住地域別シェアを見ると、近隣アジア諸国からよ り良い品質の医療を求めて渡航するツーリストや、同時多発テロ以降米国への入国が困難となった 中東諸国からのツーリストが目立つほか、低コストの医療などを求める米国などからのツーリスト が含まれるようです。

これら主要な医療ツーリストを受け入れる国々の多くでは、外貨獲得や内需拡大といった目的によ り国策としての取り組みを実施している場合が多い。
このような国策としてのプロモーション活動や制度改革といった後押しがあったことに加え、アジ アでは営利企業として経営を行っている民間病院が多いことから、病院側に新たな収益源として医 療ツーリズムに積極的に取り組むインセンティブが強くあったことも、アジアにおける医療ツーリ ズムの拡大に寄与したものとも思われます。
医療ツーリストのための優良病院世界のトップ「10」の中にも、アジア地域の病院が6カ所選ばれており、それらの多くは系列病院を持つ民間病院です。
このように、アジア地域では民間病院の活躍が医療ツーリズムの発展に大きく寄与しているので、日本でも今後は民間に期待がもたれます。

国内の動向 ~拡がる医療ツーリズムの取り組み

わが国、日本でも医療ツーリズムに対する取り組みが加速しており、2009年12月に閣議決定された政府の 「新成長戦略(基本方針)」に盛り込まれております。
経済産業省が「サービス・ツーリズム研究会」を設置し、健診を中心に中国・ロシアの富裕層をターゲ ットとした実証実験を行うなど、関係各省庁も 取り組みを開始しております。
わが国における医療ツーリズムに対する潜在的な需要としては、

①より良い品質の健診・検診を求める新興国富裕層、
②最先端の医療技術を求める世界の患者
③低コストの医療を求める米国など先進国のツーリスト


これらの需要が想定されます。
このような潜在需要を、一定の仮定を置いて試算す ると、わが国に渡航する医療ツーリストとして、2020年時点で年間43万人程度の需要が潜在的にある とみられ、潜在需要が実現した場合の医療ツーリズムの市場規模は約5,500億円、経 済波及効果は約2,800億円と試算されるのです。

ただし、潜在的な需要を実際に取り込むためには、現在検討が進んでいる「医療ビザ」の新設や海外 に向けた情報発信、医療通訳者の育成など様々な分野で医療ツーリストの受け入れ体制を整備するこ とが前提となり、特に医療機関を中心に異文化・多言語への対応をはかることが重要かつ必要不可 欠な条件です。さらに、これらの条件が整い、国内における受け入れが進展した場合、国内の勤務 医不足の問題と整合性を取るといったことも課題と認識されています。
医療ツーリストの受け入れが進展すれば、日本の発展に寄与するだけでなく、医療費の抑制傾 向が続き、赤字経営を余儀なくされている国内の医療機関にとっても、検査機器の稼働率向上や保険 外収入の増加による経営改善が期待できる。また、医療機関と自治体の連携による医療産業集積の形 成は、医療ツーリストの呼び込みに効果的であるだけでなく、地域経済の活性化につながる側面もあ ります。
医療ツーリズムの市場が拡大し、医療の国際化が世界的に進展するなか、高度な医療技術・設備と豊 富な観光資源を有する私たちの国、日本も多くの医療ツーリストを呼び込むことができる可能性は十分にあ り、今後の動向が注目されます。